米国の宅配運賃が最高値へ、軽油だけでは説明できない理由
今年のアメリカの年末商戦は、配送コストが過去最高になる。10月26日にロイターが報じたTD Cowen/AFSの貨物指数は、第4四半期の地上宅配の実質運賃が前年比5.8%増、速達が13.8%増になると予測した。1,800社の荷主の匿名データをもとに、燃料などのサーチャージを含めた実際の支払い額で測った指数で、いずれも過去最高になる。
軽油の数字は引用しやすいが、読み違えやすい。米エネルギー情報局(EIA)によれば、10月19日時点の全米の路上軽油平均は1ガロン6.28ドル。2月28日、米国とイスラエルがイランを攻撃する前と比べて約65%高い。ブレントは年初来で9割近く上がっており、10月26日の下落(WTI 1.46%安、ブレント0.78%安)は高値からの小反落にすぎない。モルガン・スタンレーは短期の軽油供給に余力が乏しいとし、IEAのビロル事務局長も同日、紛争前の水準には戻りにくいと述べている。
ところが、サーチャージ上昇分のうち軽油で説明できるのは約3割にとどまる。残りは運送会社が料率表そのものを書き換えたことによる。AFS Logisticsの最高分析責任者ミンシュ・ベイツ氏の試算が明快だ。2021年第1四半期、軽油が1ガロン2.91ドルだったときの業界の燃料サーチャージは基本運賃の7.75%だった。同じ軽油価格に現在の料率表を当てはめると23.75%、ほぼ3倍になる。原油が下がってもサーチャージが元に戻らないのは、商品ではなく仕組みが変わったからだ。
10月19日の軽油価格を基準にすると、UPSの燃料サーチャージは29.5%、FedExは29%。運送会社を替えれば済む話でもない。ShipMatrix社長のサティシュ・ジンデル氏によれば、OnTracの西海岸の燃料サーチャージは10月25日までの週で29.5%と、両社と同水準だった。米国郵便(USPS)が約8%、アマゾンの物流部門が約3.5%で、ここだけが現実的な抜け道になる。OnTrac、GoFo、UniUni、Jitsu、Vehoの合計は米国人口の約7割をカバーし、繁忙期向けに能力も増強している。ただし荷量を分散すれば大口割引を失い、ホリデーシーズンの配送計画は数か月前に固まっている。10月下旬から組み替える余白はほとんどない。
米国向けに販売する輸出者にとって、これは運賃の問題に見えて利益率の問題だ。小売価格39.90ドル、ラストマイル原価6ドルの商品なら、地上宅配5.8%増は1個あたり約35セントの上乗せになる。2日配送を売り文句にする商品には速達13.8%増のほうが重い。しかもサーチャージは注文日ではなくPCD(価格計算日)で決まるため、繁忙期の途中で料率表が改定されると、9月に見積もった粗利がそのまま消える。
実務の対応は地味だが、効果ははっきりしている。
- 需要サーチャージは「合意した基準量を超えた分」に付くことが多い。予測を2〜3社に分け、基準線を守りやすくする。
- 在庫を米西海岸・東海岸の倉庫に前倒しし、単品の航空便ではなくトラック単位の補充に切り替える。
- 返品は店舗受け取りか集約拠点に寄せる。逆物流は今や純粋なコストだ。
- 見積書にはサーチャージの転嫁条項を必ず入れる。自社で飲み込まない。
UPSは価格はサービス品質と設備投資を反映したものだと説明し、FedExはコメントを控えた。両社は今週決算を発表する予定で、荷主がサーチャージに対して反発するかが次の焦点になる。交渉の窓は長くない。繁忙期サーチャージが発効すれば、話し合う余地は残らない。
裕豐国際物流は米国線で一次輸送、海外倉庫、ラストマイル配送をまとめて手配している。米国ルート、見積は sales@ruixincargo.com まで。
出典:ロイター報道(ウォールストリート見聞、優分析による転載)、TD Cowen/AFS貨物指数、米エネルギー情報局の軽油価格データ、ShipMatrixの公表コメントによる。
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