IMOネットゼロ枠組みは12月採択表决へ、LNG扱いが最大の焦点
はっきり言えば、世界の海運は12月4日という日付を無視できなくなった。国際海事機関(IMO)のネットゼロ枠組みは2025年4月のMEPC 83で草案承認されたものの、採択は2025年10月の特別会合(57対49で休会)と2026年9月の会間作業部会と二度流れ、いよいよ11月30日〜12月3日のMEPC 85を経て12月4日の再開特別会合で採択の可否が問われる。
中身を冷徹に見ると、荷主にとって脅しでも福音でもない、ただの「コスト設計図」だ。対象は総トン数5000超の外航船(国際海運排出の85%超)。燃料の温室効果ガス強度上限を毎年引き上げ、超過分は補救ユニットを購入する。2025年4月版では2028〜2030年の価格が1トン当たり100ドルと380ドルの2段階とされ、額も開始時期も未確定だ。
交渉を難しくしているのは金の行き先だ。米国はIMO管理の世界基金に反対し、連邦海事委員会のディベラ委員長は8月、LNGとバイオLNGを過渡燃料として認める修正版なら支持し得ると示唆。9月にはブラジル式の暫定融資スキームにも譲歩の姿勢を見せた。UCLの分析では9月会合で発言した国のうち38カ国が炭素価格と中央基金を支持、17カ国が反対。票の流れはむしろ採択寄りだ。
一方で産業界は先に動いている。DNVによれば2026年1〜9月にLNG対応新造船200隻が発注され、前年同期比52%増。9月単月の代替燃料船69隻のうち48隻がLNG仕様で、コンテナ船と自動車船が中心だ。ドミンゲス事務局長は10月21日、上海で「脱炭素の放棄は選択肢ではない」としつつ、修正版でLNGを過渡燃料として受け入れ得るとの見方を示した。残る論点はメタンスリップを含むウェル・トゥ・ウェイクでの会計処理であり、これは「LNGを認めるか」以上に船会社の損益を動かす。
荷主側の含意は明快だ。EU-ETSでは海運は対象排出の約10%ながら無料配分がないため負担は約20%に達し、この分はすでにバンカーサーチャージに転嫁されている。12月の採択の成否にかかわらず、2027年の契約更新では燃料調整条項のトリガー、算定基準、上限を明文化する方が、採択結果を賭けるより合理的だ。
欧州各港の通関・配送の目安は欧州専用線ページを参照。
出典:Cyprus Mail / TradeWinds / DNV の報道・集計による。
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